無茶苦茶嫌な科学教育
市民の科学に対する理解度が低いのは何とかならんか。
そりゃまあ、科学万能主義も嫌ではあるのだが。
正しい理解というのはなかなか難しい。
一時期俺も牛食わなかったしな。同罪だ。最近は喰ってるが。
遺伝子組み替えが何でまずいのか、理解できてる人間がどれだけいる？
倫理的問題を除けば、方法論がまずいというところなんだが何でか
わかってるのか？
一般市民、そんじょそこらの素人が科学者並みの知識を持っていたら
話は早いだろうなあ。
たとえば原発のヒビだが、危ないけど今すぐデンジャーってわけでもない。
その辺の理解だ。一回止めてヒビを直せば使えるだろ。
そう、その辺だ。
ヒステリックになんでもはんたーいじゃあ、相手を意固地にするだけだ。
何で？どうして？っていうガキのころの心を思い出してみる。
すると知りたくなるはずだ。
生まれたときからそういうのが無いって奴は、一回医者に見てもらえ。
いやマジで。人としておかしいって。
なんでどうしてを調べて、その上で賛成反対なら相手と同じ土俵に
立てるんではなかろうか。その時、嫌でも相手の意見を聞け。
どのくらいの安全性で、何処が問題で、それは使って良いのか？
民主主義ってのは最悪の方法だが、今までの方法はもっと最悪だからな。
そんじょそこらの八百屋とかが詳しかったら面白いぞ。
「奥さん、今度入ったトマト。糖度が1.2倍で、リコピンが50%増なのに
お値段そのまんまなんですよ。買っていきません？」
「ああ、そういえば、リコピンってトマトの色素ですわよね」
「そうです。カロチノイドに似た構造ですが、抗酸化作用はV.Aより
上ですよ。健康になりたきゃ買った買った」
「でも普通のトマトではビタミンAはあんまり取れませんわよね」
「最近はビタミンAも取れるトマトがありますよ。ちょっと黄色っぽい
これです。お値段は張りますけど」
「うーん。でもそちらいただくわ」
「へい、毎度」
なんか嫌な光景だな。
以前ガス漏れ騒ぎが近所であったのだが、漏れたのがハロンだと聞いて
なーんだと俺は思った。だって安定な分子だもん。安全。
でも近所は大騒ぎだったなあ。てか、安全なものとそうでないもの解らんもん。
みんなそれがわかってたら、こんな感じだろう。
「ハロンが近所の工場で漏れたって」
「ふーん」
「別に漏れても環境にはともかく、まあ大丈夫よね」
「安全な消火用に使われてるらしいが」
「もうそれ古いよ。いまはオゾン層保全のために使われてない」
「フロンの同属だからなあ…」
誰も騒がない。至って平和。
やっぱ、嫌な光景だな。
「大阪でアイソトープ撒いた奴が要るって」
「ふーん」
「アホだな」
「土の除去大変じゃないか」
「まあたいした被害は出ないだろうさ」
「ポットに入れたりしたら怖いだろうなあ」
「頼むから止めてくれ！」
常に冷静。科学者しかいないとこうもなるか。
「うわー、幽霊だー」
「ふーん」
「ん？おお、俺にも見えるな。集団幻覚ではないっぽい。つまり幽霊は
俺の脳の視覚野を刺激しているわけだ。これはなんかの電磁波か？」
「うらめしやー」
「えらく古風だな」
「おお、聴覚野も刺激するのか。すげーすげー」
「何なんだお前ら！くそー、呪ってやるー」
「ほほう。どのようにして呪うのかね？偶然を装って何か落としたりするのか？
それだったら偶然を装って当たり馬券当ててくれないか」
「それいいなあ。んじゃあ俺には偶然を装って美少女を朝ぶつけてくれ」
「俺には金塊か札束な」
「うおおおおぉおぉおぉぉ！！」
「おお、パニくってるな。カルシウム不足か」
「いやいや、カルシウムよりDHA。これが精神安定の流行」
「ハーブもそのうち出てくるだろ。薬効があるもの多いし。有効成分の評価
はまだかいな」
いや過ぎるな。
全員が研究者レベルの科学教育を受けた世界。
そこは理想郷どころか悪夢以外の何者でもないな。